
ハイジュエリーの基礎を学んだ日々。
ハイジュエリーとは、高価な宝石を生かして趣向をこらしたジュエリー。
僕はまず、その制作技術を身につけるところから始めました。
ジュエリーの会社は分業制になっている所が多いのですが、僕が入った所は違いました。会社という枠の中でありながら、いろいろなことを手がけるチャンスをもらえたことは、ラッキーだったとおもいます。
その後、有名なハイジュエリーの会社に勤めを変え、さらに他の会社から引き抜かれて、少し責任のある立場になりました。僕は、一定のレベルでいろいろなことができたので、様々な仕事を手がけさせてもらいましたね。
オーダーの中で、変り種だったのは、プラチナでできた聴診器(笑)と、関取に谷町の方が贈られた「こはぜ (足袋の金具).」ですね。「こはぜ」は、イエローゴールドとホワイトゴールドの2種類を作り、化粧回しの模様を彫りました。粋な贈り物ですよね。
仲間と一軒家につくったアトリエ。
ハイジュエリーの世界に入って3年くらい経った頃、ジュエリーを手がけている仲間3人で、念願のアトリエ兼住居を手に入れました。
昼間はハイジュエリーの仕事をしつつ、夜や休日は、アトリエで自分の作品を制作。
作ったものは、ギャラリーなどで発表するようにしていました。
そうして序々に、こういう風にやっていこうかな、という道筋が見えて来た訳です。
動物アクセサリー「cogito,」の誕生。
最初に立ち上げたブランドは、少し実験的な内容のものでした。そのブランドは続けつつも、もっと多くの人に喜んでいただけるラインをもうひとつ作りたいと考えて「cogito,」を立ち上げました。
「cogito,」では、ただ着けて可愛いアクセサリーというだけでなく、物語性も大事にしています。
淡水パールでできた羊のむれの中にオオカミを入れたネックレスや、シロクマの口の中のリンゴがくるくる回るリング(写真)。同じく、シロクマの手の形になったリングの内側に、シロクマがつかまえた魚を彫ったものもあります。
こんな裏話をした時に、皆さんがちょっと笑ってくれたりするのを見るのは好きですね。
まず、動物の骨格や筋肉を研究した。
犬と鳥では、骨格は全く違いますよね。でも、例えば人の脛(すね)の骨にあたる部分は、犬にも鳥にもある。
動物を作る時は、そんな風に骨格から考えて作っています。
ノートに描くのは、スケッチというよりも「覚え描き」という感じでしょうか。
イメージした事を紙の端っこなどに走り描きしておいて、スクラップして。実際のデザインは、ほぼつくりながら仕上げていきます。
最初は動物園などに行ったりもしたのですが、今は、動物の骨格とか、筋肉のつき方とかはだいたいつかめて来ましたから。写真だけチェックして、つくってしまうこともあります。
不思議と、イメージだけで作った方が良い時もありますね。実際に動物園で見てみると、「思ったより可愛くない!」「格好良くない!」と思ってしまったりとか(笑)。
アンティークのような雰囲気。
動物モチーフって、やっぱり、可愛いモチーフだと思うんです。
でも、扱い方によっては、ぬいぐるみのような可愛さになってしまう。
「cogito,」は、きちんとしたものづくりの姿勢を伝えたくて、アンティークっぽいデザインにしています。
角をつけて鹿、たてがみをつけてライオン、というだけじゃなく、ディテールにこだわって、オリジナリティを出していきたいですね。
ジュエリーをつくり上げて行く行程の中で、2重3重に手を加えて、細部まで質感を出しています。
やりだしたら、止まらないんですよ。
SALONE AOYAMAを訪れた方へ。
「cogito,」はまだ、生まれて3シーズン目。これから皆さんにどんな風に受け入れられていくブランドにするのか、模索中の段階です。
どう着けてどう感じていただけるかは、お客様の自由だと思っていますし、僕にもその声を聞かせていただければ嬉しいです。
ひとつひとつのアイテムに、ストーリー性をこめていますので、ぜひ、それを通してまわりの方と会話をふくらませてください。
これからも、夢が見れるような品を送り出していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。(2007.12 アトリエにて)
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