「できあがる度に、磁器の美しさに感動しています。」

INTERVIEW FILE01

  • アメシストリング
  • アクアマリンリング
  • クンツァイトリング
  • レモンクオーツリング
  • sample
  • sample

憧れの磁器土を手にした時。

photo1

今でこそ、磁器での作品づくりにこだわっていますが、中学高校の非常勤講師をしながら展示会をしていた頃の作品は、陶器でした。磁器に漠然とした憧れを持ちながらも、作るのが難しいという先入観があったのです。


磁器土は陶土と扱いが違いますし、木目(きめ)の細かさも違います。同じ陶芸分野でありながら、別素材のような印象がありました。

でもある時、なんとなく磁器土を一袋買ってみたんです。
結果?手間はかかるし、カップの取っ手はくっつかないし、完全に負けでした。ただ、形はだめでも色がとても綺麗だったんです(笑)。だからこそ、磁器土に挑戦したくなったのかもしれません。
photo2

思考錯誤は5・6年続いた。

作品を作っていると、木材で言う端材のような「くず土」が生まれます。

陶器のくず土は吸水させた後、手で練れば空気が抜けますが、磁器のくず土は手では空気が出せないため、真空土練機という機械を買う必要がありました。でも、そんな大きな機械を買う余裕はない。そこで解決策として、磁器土をドロドロの液体状態にして制作する『鋳込み(いこみ』という方法を選択しました。

石膏の型にドロドロになった土を入れると、土の水分を石膏がすってくれて、石膏に触れている部分が固くなっていきます。頃合いを見て、まだドロドロしている部分を流しだすと、器の形が残る訳です。

これでくず土を利用する方法が整い、後はそれを作品に仕上げるのみとなりました。
photo3

注文が止まらなかった日々。

試行錯誤を続けている間、磁器土を使った初期の作品に、注文が集中しました。

白地にグレーの水玉や葉っぱの模様が入っている器だったのですが、非常勤講師を辞め、朝8時半〜夜23時半まで土日の休みもなく 作りつづけました。

とにかく売れるから作っていたんですが、やがてもう「これは作りたくない!」という時期がやって来たんです。一旦そうなると、いくら注文をいただいてもお断りするようになりました。当然、収入は激減したんですけれど。(笑)

その頃、新たにオリジナルの技法を施した器を提案したのですが、お店からは「高い!」と言われるし、展示会をしても返品がつづいたりで、 散々でした。
それでも続けて来た結果、4年経った今、当時突き放されたギャラリーでの展示会も成功しましたし、 ようやく軌道に乗れたように思います。
photo4

Water Plantsシリーズの誕生。

磁器土を使い始めた頃は白磁に色をのせていましたが、白磁より少しブルーの入った青白磁色1色の作品が作れないかと思い始めました。 そこで、釉薬の調合を変えて何度もテスト焼成を繰り返し、この割合が良い!というのをとうとう見つけました。
それが今の、白磁でもない、青磁でもない、オリジナルの青白磁の色です。

また、最初は磁器の表面をけずって模様を描いたのですが、思いの他大変で。次に、磁器土を付けて凹凸を出してみようと様々な方法を試しましたが、 失敗ばかり。やがて、ドロドロの磁器土を塗り重ねて凹凸を出すことにたどり着きました。

模様はすべて手描きです。1回塗っただけでは凹凸が出ませんので、3回塗り重ねる事にしました。塗り重ねた後、表面のモコモコしている部分を削って、模様の周りも削ってシャープにして、ようやくできあがり。
こうして、Water Plantsシリーズが生まれ、新たな展開を迎えました。
photo5

とことんこだわるものづくり。

ひとつのタイプの食器に対して、基本的に型はひとつ。そしてその型から、1日5〜6個位しか器の形を作り出す事は出来ません。 その湿った型を数日かけて乾燥させて、再び器の形をとる....を繰り返します。そうして出来た器ひとつひとつに絵柄を描き、乾燥→素焼→釉薬掛け→本焼と、様々な工程を経て焼き上がります。


窯から出て来た作品達は、すべてきれいに焼き上がる訳ではありません。 歪みが出てしまったり、焼成時についてしまったススや鉄分などの様々な汚れが付いてしまう事も多々あります。

例えば100個焼いた中で、ちゃんと販売できるのは60個くらいではないかと思います。
photo6

「私にしか作れない」ランプ。

今、一番チカラを入れているのは、磁器ならではの透光性を生かしたランプ。出来上がって光をつける度に、感動しています。 決して売れやすいアイテムではないのに、その美しさに取り付かれているのかもしれません。

1ミリ厚の磁器を作る事自体、難しい。大家と言われているような方の作品を見ても、破れている磁器をランプとして売っているのを見るくらいです。亀裂が入ったりやぶれたりしちゃう気持ちは分かるのですが、私はそれを売りたいとは思いません。

また、たいてい、柄は型に入れている事が多いと思います。その場合は、私のように模様をひとつひとつ盛っているのとは違って、 同じ模様しかできませんし、ぼんやりとした色の模様にしかなりません。 そういう意味では、「私にしか作れないランプを作ってるな」という充実感があるかもしれませんね。
photo7

ずっと、つくり続けていきたい。

今後どうして行きたいかと聞かれてパッと思いつく言葉は、「現状維持!」です。夢のない話だと言われがちですが、現状維持って、結構大変な事ではないでしょうか。現状維持をしようと思っていると前に進んだかな、と思える瞬間があるように思います。


卸よりも、個展を中心に活動していきたいとは思いますね。今のペースで言うと、年に3〜4回でしょうか。東京方面がどうしても多くなってしまうのですが、地方でも展開できれば嬉しいですね。

私の作品のファンになったお客様には、是非、優しく楽しい時間を過ごしていただきたいと思います。またいつ、「この手法、飽きた!」となるかは自分でも分かりませんが、今しばらくは大丈夫だと思います。(笑)
(2008.02 アトリエにて)

 

磁器作家
*+ma.*道具政子
Natsuko Sakurai

■Profile 1968年     東京都生まれ
1990年     東京家政大学服飾美術学科美術専攻卒業
1996年     横浜市にアトリエ開設
2004年     町田市に移転
■活動略歴
'97.'98年     現代陶芸めん鉢大賞展入選(東京ドーム)
'00.'01.'03年  朝日現代クラフト展入選(阪急うめだ、港北)
'01.'02年     日本クラフト展入選 (松屋銀座)
個展、企画展を中心に活動中
□Web http://and-ma.petit.cc/
 

shoplist

lounge

interview owner's blog

SALONE AOYAMAとは

  • 東京・青山から発信するプロジェクト。
    WEB初出展のクリエイターを多く扱うオンラインギャラリー&セレクトショップです。
  • 自宅にいながらにして、青山を散策した時のような心の響きを提供。
    「豊かなアソビゴゴロ」があるライフスタイルを提案してまいります。
  • オーナーのブログ