
遠回りと思っていたことが、近道に。
よく驚かれるのですが、私のアクセサリーを青山の「spiral market(スパイラルマーケット)」においていただけるようになった頃、 私は、証券会社のOLでした。スタートは遅かったのです。
幼い頃から植物が大好きで、植物図鑑を見入ったり、野山を駆け回る子供だった私は、短期間アートフラワーのデザイナーをしていた事もあります。そこでは自由にオブジェを作って良いと言われておりましたので、花をオブジェとして大きく生ける事と、生活の中に生ける事の違いと楽しさを知りました。
それらのすべてが今、私の作品に大きく影響しています。
「遠回りと思っている事が、実は近道」という事は、あるのではないかと思うのです。
展示会は、自己表現の場。
アクセサリーデザイナーとして完全に独立した今、作品をつくることで、子供の頃から大好きだった植物への思いも 満たされるようになりました。 murder pollenの展示会では、アクセサリーはディスプレイのひとつ。 ふんだんな植物、こだわりの什器で、好きな世界をつくりあげるようにしているのです。私にとって展示会自体が作品であり、自己表現の場のひとつなのかもしれません。素敵なアンティークの家具や花器を見つけると買いこみ、オリジナルの展示用品を作り…まだまだですが、少しずつ納得の行くディスプレイができるようになって来たように思います。
そうした中で、思いがけずオリジナルの展示用品がバイヤーさんの目に止まって商品化される事もありました。
写真の鉄のシャンデリアは、「アクセサリーとは、使った後引き出しにしまうものではなく、インテリアとして飾れるものであれば楽しい。」 という思いから作ったものですが、それ自体が商品となり、いくつかの雑誌で紹介される機会にも恵まれました。
空間デザインへの思い。
アクセサリーを作り始めて8年目ですが、そんな風に展示会の空間に力を入れてきたことで 今また、新たなステージに差し掛かっているようにも思います。今年、ミラノサローネ(※)に出展する事となり、ただ今準備中です。 街なかのとあるカフェで、「panta rhei(万物は流転する)」をテーマに、建築家の方とのコラボレーションを行います。
(※国際家具見本市と、同時期にイタリア・ミラノの街中で開催される多くのデザイン関連のイベントを総じた通称)
今までは、アクセサリーという枠でやってきたけれど、 商業的には効率が悪いと思われる事や伝わりにくいと想定されている事も、 空間を通して直接にお客様に見ていただく事ができれば、意外と伝わったりやすかったりすると思うのです。
自分に実力がないうちは、仕事として実現する事もできなかった何かが、 少しずつ、見えてきているように思える今日このごろです。
TROPなアクセサリー。
アクセサリーに関しては、最近は、「情景」をテーマにしたいと考えています。
秋の植物園の土の匂いからはじまる景色・・・とか。
また、以前パリでルーブルの横にある装飾美術館に行った時に、TROPという
20〜60年代のファンシーなビジュー・コレクションを見ました。
TROPって「過剰、盛りだくさん、いっぱい」というような意味なんですが、
その時触発されたイメージが、天然石とレザーを組み合わせた
「椿」や「クローバー」のシリーズにつながっています。
最近は、「格好良いものを作らねば」というような気負いが抜け、
素直な気持ちでアクセサリーづくりを楽しんでいます。
好きなもの、好きな色は、その人に似合う。
お洋服でも何でもそうですが、好きなものがあっても、恥ずかしがって身に着けない方って
いらっしゃるように思います。それはもったいないなあ、と思います。
実際に展示会でお客様とお話している時、特にそれを感じます。
例えば葯(やく)リングは、わりと大きめのリングのシリーズですが、おすすめして実際に
指にはめられた方が、「自分は、こういうのが似合うんだ!」と驚きながらも顔を輝かせて
いらしゃったりして。
今まで指輪をはめたことのない方が、大きめの葯リングを買っていただくケースは結構多いのです。
好きなもの、好きな色は、絶対その方に似合うようになっていると思うから、恥ずかしがらず、
どんどんチャレンジしていただきたい。
私の作るものは、ハイジュエリーではないから「うっとりしてもらう」というのとは違うかもしれません。
でも、「ウキウキ」「楽しい」気分をお届け出来るような作品づくりを目指したいと思っています。
(2008.04 アトリエにて)
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