
もっとやるべきことが あるんじゃないか。
文化服飾学院オートクチュール科を卒業後、洋裁学校の講師などで資金を貯めて、念願だったオートクチュール仕立ての服をつくる洋裁店を立ち上げました。2003年5月5日。場所は大田区鵜の木です。学校時代の呑み友達だった浅見貴之も誘って。
その店で二人が食べていけるぐらいの利益は十分出ていたし、面白みもありました。でも……オートクチュールは、効率が悪いのです。
お客様のご要望に、ひとつひとつ応えて手直していっても、既製服にあふれたこの時代、安さを求められてしまいます。
となると商売を続けていっても、そんなに大きくならないと分かる。そういう見通しがたったとき、「僕らにしかできない、もっとやるべきことがあるんじゃないか」という思いを強くしました。
ポケット屋の誕生。
「ポケット」に着目したのは、女性の服にポケットが少なくて不便に感じる方が多いのを知っていたからです。ただし、オートクチュールの店で、ポケットをつけるサービスをしてもニーズはそんなになかった。だったら、取り外しのできる、しかも実用性よりデザイン性を重視したポケットをつくったらどうだろう、と二人で考えたのがきっかけです。コンセプトは、毎日洋服のように選べて、アクセサリーにもなる「夢のポケット。」。
あとはともかくやってみよう、と。その後はオーダーの受注は一切せず、「ポケット屋」として新装オープンしました。額縁に商品を飾るなど、店内のイメージもガラッと変えて、200〜300個は商品をつくってみたかなあ。
売れなかったけど 反応はすごく良かった。
当初はまったく売れなかったです(笑)。 面白いけど実用性がないと言われて。ただし反応はすごく良かった。「こうしたらいいんじゃない?」「もっとこんなのが欲しい!」という要望が沢山きて、手応えを感じましたね。 「自分たちのもつ技術」と「創りたい物」が頭のなかで合致する感覚でした。
たとえば、シルクを使ったものが欲しいと言われた。僕らは耐久性を考えて繊細な素材は使いたくないと頭から思いこんでいました。そういう要望に沿って、パターンをつくらずに素材を手切りし、ミシンや手縫いで縫い上げて創っていたので、世界で一つだけの面白い形を創り上げる土壌ができました。
今でもデザインする際は、常にRUN&RUN(ポケット屋のレーベル)にしかできないものをイメージしています。
今後は「使い方」も提案したい。
ここまで来るのに、すべてが苦労でしたけどね(笑)。
特に、“新しさ”を売るのに苦しみました。自分たちのコンセプトが伝わらず、「この商品をどう使うの?」、「どうコーディネートしたらいいの?」といった疑問が絶えず寄せられました。
『装苑』などの雑誌に、スタイリストさんがコーディネートした写真が掲載され始めて、最近やっと伝わってきたかな、と感じます。だから、これまでは「商品そのものがかわいい」と受け入れられてきたけど、今後はもっと“使うスタイル”を提案したいですね。
この一年、コンセプトも柔軟に変化させました。「何も入らない」一辺倒でなく、お客様の「こういう物が入ったら嬉しい」という要望を実現したポケットも夢のひとつだ、と考えを改めまして(笑)。実際、モノが入る実用性を兼ね備えた商品も増やしています。
“世界中RUN&RUNだらけ”が夢。
今、狙っているのが海外への出店です。イギリス、フランスで取り扱ってもらえるか交渉しています。
国内ではオリジナルブランドのほか、OEM(他ブランドの受託生産)やコラボレーションも手がけています。海外においてもオリジナルだけにこだわらず、OEMもアリだと考えてます。とにかく「どこを歩いてもRUN&RUNの商品だらけ」にするのが夢です。
加えて言えば、今僕らは工場で大量生産をしているわけではない。ほかにも個性のある作家さんで、自分でつくった分しか売れない、もしくは売らないと生産上の制約がある方は多いと思います。
将来的にそういう作家さんの商品を広げられるような、レーベルに参加してもらう代わりに生産はうちで請け負う、という仕組みも作れたらいいですね。そういう、誰もやっていないことに挑戦したい。
SALONE AOYAMAとの出会い。
僕はもうSALONE AOYAMAに惚れ込んだと言いますか、商品を売ることより美しく紹介することを優先しているなんて、効率を求める世の中で、逆を行くサイトも珍しいと共感して出店を決めました。
今はここを、公式サイトよりも早くRUN&RUNの新作を置いていく発表の場にしたいと考えています。
SALONE AOYAMAを通じて商品をより理解して頂き、お客様に夢を感じて頂けたら幸いです。
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SALONE AOYAMAとは
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