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INTERVIEW FILE015

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ジュエリーディレクターの入り口。

最初はなんとなくたずさわったジュエリー業界でしたが、振り返ると、全てが今につながる勉強の連続だったと思います。

就職情報誌でたまたま目について応募し、初就職したのが、全国100店舗を超える大手宝飾チェーンの会社。就職後に配属された生産仕入科で、オーダーメイド制作の担当になりました。全国の店舗で承ったオーダーメイド品について、工場と相談しながら、見積もりを書いたり、石を選んだりするお仕事です。ジュエリーが出来上がるまでの工程をゼロから見ていく中で、デザインに、興味を持つようになりました。

しかし、その会社はデザインは外注でしたのでデザイナーのお仕事をじっくりと見る機会がありません。そこで、転職したのが、自社でデザイナーをかかえている青山の宝飾卸の会社でした。

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こだわりを「読む」練習。

青山の宝飾卸の会社でも、経験を生かして、製造管理に配属されました。営業の方が持ってきた仕事を、デザイナーさんに渡して、3~4パターンのデザインを描いていただく。そのデザインが得意な職人さんを選び、お見積りと納期を算出するのも私の仕事でした。

皆プロフェッショナルですから、丸カン(金具)ひとつ取っても、完璧なデザインに仕上げたい。営業さん達は、本来ならばデザイナーさんや職人さんに直接指示したい訳です。それを私が一括して聞き取って、指示するのですから、責任は重大。必死で勉強するうちに、営業さんにも信頼してもらえるようになり、皆が仕事を持ってきてくださるようになりました。

さらに、「ここはどうするの?」と職人さんに聞かれた時、デザイン画から、デザイナーさんの意図を読み取って代わりに説明せねばなりません。知らず知らずのうちに、たくさんのデザイン画を読む訓練にもなっていたと思います。

また、職人さんが完成したものを取りに行くと、2時間くらい(笑)その「つくり」について語ってくれたりもしました。それもとっても面白くて。その頃は、ジュエリーの制作まで携わる事になるとは思っていませんでしたが、その頃職人さんに聞いた話は、今でも身についていて、作品に反映されていると思います。

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制作の楽しさを知る。

その後、自分でデザイン画を描けるようになりたいと夜間の学校にも通いました。そして、最後にお勤めした代官山の宝飾小売店で、とうとう、「制作」の楽しさも知る事になります。

その会社で知り合ったワックス職人(金属を流し込むロウの鋳型の職人)の方に、細かいメッシュのような加工をされる方がいらっしゃいました。イタリアのブチェラッティのようなデザインです。どういう技法なんだろうとびっくりして。その方が、お教室をされていたので、会社に内緒で通い始めました。

それまで、ワックスを触ったこともない私でしたが、そのお教室は、ワックスの基礎が十分できている方が、高いお金を出して、特殊技能を習いに来ているような所でした。予約も取りにくいくらい人気だったその教室で、初歩の初歩から始めている私を、まわりの生徒さんはじれったそうに見ていたものです。

少し居心地が悪くなり、先生に相談して一番弟子の方の教室に移ったのですが、ほどなく、自分はワックス加工が得意と気付きました。

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職人としてのひとり立ち。

自分で作ったワックスの型を、それまでの知り合いの職人さん達にお見せしたところ、数人の職人さんからお仕事をいただく事ができました。今まで上質な宝飾品を多く見ていたおかげでしょうか。「初心者っぽいものを作らない」と褒めていただけたのは嬉しかったです。

やり直しと言われたら何度でも行いましたが、職人さんのアドバイスで、たとえ5000円でも工賃はいただく事にして。アドバイス通り、お金をいただく事で、責任感もモチベーションも高まったと思います。

やがて、ワックスだけでなく地金の勉強も一から学校で学び直し、製品まで完成させるお仕事を、メーカーさんからいただけるようになりました。

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自分だけのアトリエオープン。

10年前、青山通り沿いにアトリエをオープンし、今は、南青山にそのアトリエを移転しています。たくさんのクリエイターがいて刺激的な街。アトリエを構えるにあたって青山以外は考えられませんでした。

アトリエを構えて良かったのは、お客様のお顔を見てオーダーメイドのジュエリーを作れるようになったこと。「その時のベストを尽くす」というのが信条の私は、全力でジュエリー作りに取り組みます。似たようなものに見えても、石が違ったり、人が違ったり。私にとっては全てが新しいもの。なので、ひとつひとつの作品に、気力体力をかなり摩耗します。

以前は完成したものを納品したら終わりでしたが、今は、出来上がった時に、お客様の喜ぶ顔が見れたり、声が聞けたりします。そうすると、次もがんばろう!と報われるのです。

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オーダーメイドということ。

オーダーメイドのジュエリーは、とても難しく、やりたがる方が少ない業態だと思います。だからこそ私は、誇りを持って取り組んでいます。

sonoko nakamuraのオーダメイドジュエリーは、今まで培ったヒアリング力が礎になっていると思います。例えば、お客様の上手なスケッチ通りに作品を仕上げたのでは、「思ったのと違う」となってしまいます。お客様ご自身が気づいていない思いをどこまで引き出せるかが、オーダーメイドの難しさではないでしょうか。

「お客様が作りたいもの」を自然に引き出し、強い作風を押し付ける事なく、恰好良いものを生み出す。こんなタイプのクリエイターが他にもいれば、ぜひ、一度紹介していただいて、お話してみたいと思っています。いざ探すと、なかなかお会いできなくて。。

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次の世代へ。

ある日ふと、日本の宝飾ジュエリー職人さんは、私より歳上の方ばかりという事に気付きました。宝石を留める爪一本にも伝統の技が隠されているのに、職人さんの貴重な経験や技術が伝承されていないのです。また、細分化されているジュエリー業界をまたいで情報交換できる場が作れたらなあ、というのもぼんやりと考えていました。

そこで、2009年、『ジュエリー研究会 MUSUBU』という交流会を数名で立ち上げました。数か月に一度、職人~デザイナ~バイヤー~プレスなど日本のジュエリーに携わる方々が集まって、講師を招いてセミナーを受け、親睦会を行っています。名刺交換をした後に、実際にお仕事に結びついているケースもあり、その拡がりをうれしく感じています。

私自身、色々なお話もいただいていて、これからどんな事をしていくのか、自分でもワクワクしている部分があります。ジュエリーをやり続ける事。「やってます」と言い続ける事。言う事で責任を持つ事。。それだけあれば、後は、今まで通りのスタイルで、「今面白そうだと思う事」を追究していきたいと考えています。(2011.11)

 

ジュエリーディレクター
sonoko nakamura

■Profile 数社の宝石会社で石の仕入れ、デザイン、製造管理、原価管理等、
宝飾品ができるまでの全般を学ぶ。退職後、ワックス加工、
金属加工の技術を取得し、現在は、小売店様をはじめ、
個人のお客様の注文も多くいただいている。
■WEB http://www.sonoko-nakamura.com/
 

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